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Directed and Produced by
純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2001年2月のニュース一覧
▼[2001.02.28]たった今,必要な季節
▼[2001.02.27]対処なき存在,空疎な虚空
▼[2001.02.26]ナップスターという名の天使
▼[2001.02.24]テンより高く
▼[2001.02.23]世界で唯一「パソコン」であるiMacに
▼[2001.02.22]充ち満ちた火薬庫
▼[2001.02.21]冒険するということ
▼[2001.02.20]推測という,確たる検索
▼[2001.02.19]チタニアムソフトウェア
▼[2001.02.18]パックの十字架
▼[2001.02.16]バカにつける薬はとことんなし
▼[2001.02.14]いかずちを振り下ろせ
▼[2001.02.13]吹雪と爆薬
▼[2001.02.11]月と,チタンと,
▼[2001.02.10]7日目の麻薬の味,絶頂の味
▼[2001.02.09]バカにつける薬なし
▼[2001.02.08]わずかに感傷的な明日への事象_4
▼[2001.02.06]分散コンピューティングが変える,世界を
▼[2001.02.05]コンプ・コーチと人間と
▼[2001.02.03]わずかに感傷的な明日への事象_3
▼[2001.02.02]わずかに感傷的な明日への事象_2
▼[2001.02.01]わずかに感傷的な明日への事象_1

■2001年3月のニュース一覧
■2001年1月のニュース一覧


 
[2001.02.28]
  たった今,必要な季節


 ▼パイオニアがDVD-Rドライブを単体発売へ(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2001/Item/010227-7.html


 80GBの外付けハードディスクが4万円弱で売られている昨今,1GBに届かないCD-Rは,あまりにも味気ない。4.7GBもかなり薄味で京風だが(^_^;),ファイル1個単位なら,取りあえず事足りる(動画を扱うと,こんな感じになりますな,やはり)。たった今,必要なものとして5月という季節は,待ち遠しい。

 パイオニア社は,アップル社コンパック社のパソコンに搭載されるDVD-Rドライブを,単体で5月に発売する。この外付けDVD-Rドライブは,約1000ドルとなるが,アップルのiDVDで利用できるかどうかはまだわからない。また,今年後半に出荷されるDVD+RW規格との互換性にも問題がある。

 記事はパイオニアが出すものだが,すでにパイオニアのOEMを受けるCDサイクロン社もファイヤーワイヤー接続の外付けDVD-Rドライブ「DVDRevo」をアナウンスしている(MacWIRE ONLINEの記事)。こちらもパイオニアブランドとほぼ同時期の5月出荷となっており,DVD+RW陣営への先手打ちは準備が進んでいるようだ。その,DVDRevoの外観は,これがまたぜひPowerBookチタニウムの横に置いて欲しい感じで,ちたにうま〜は今すぐ予約ですねという感じ(日本からの予約もできるみたい)。まぁなんとなく,アキバにも直輸入でぞろぞろ並びそうな感じもするなぁ(パイオニアブランドは日本でも発売されるかな?)。

 DVD-Rが利用される時代というのはそれほど長くないような気もするが(過去記事),それでも,CD-Rに入りきらないファイルがバンバンできてしまう動画を扱っていると,気軽に使えるリムーバブルとして書き込みできるDVDは1日も早い普及が望まれる。そしてその普及は,エンドユーザーには今年中,コンシューマーには来年には,すでに勝負となろう。それには,DVD+RWの動きは遅い。DVDビデオ作成をメイン・ウェポンにするため,DVD-RAMからDVD-Rに乗り換えたアップルの動きは,評価してもよさそうだ。そして1ユーザーとして,5月の季節を,待ち焦がれる。




 
[2001.02.27]
  対処なき存在,空疎な虚空


 ▼.jp 集中 crack 関連(セキュリティーホール memo)
  http://www.st.ryukoku.ac.jp/~kjm/security/memo/2001/jp-attack.html


 空に爆撃機もなく,迎撃機もなく,ただ冬の澄んだ空が続いている。対処の心構えの,すべからくない心と,向き合う。

 18日以降続いているJPサイトの改竄は,予告のあった1週間を過ぎても続いている。24日には,マスコミに犯行声明のメールが届いた。予告のあったDos攻撃も報告されている。

 ホンカー・ユニオン・オブ・チャイナ(Honker Union of China・HUC)と名乗る集団によるJPドメインに対する攻撃は,当初云われていた1週間を過ぎても続いているようだ。複数人による立ち替わりの攻撃で,各人によって攻撃手法も異なり,当初はウインドウズNTのIISのセキュリティーホールへの攻撃が主だったが(IPAの警告文書),BINDのセキュリティーホール(Nikkei IT Proの記事)への攻撃,Dos攻撃と思われる攻撃など,範囲が広くなり,攻撃対象のアドレス内から攻撃目標を絞り込むことができなくなっている。先週金曜日の午後8時には大規模な攻撃の情報が流れ,政府内でも動きが慌ただしくなった(対日本サイトアタック情報掲示板の書き込み)。結局それらしい動きはなかったが,記事中にある犯行声明では,今後も攻撃を継続するとある(河北新聞の記事)。

 最大手のサイトへの攻撃もなく,宣言されている公的機関への攻撃も今のところはみられないので,ちょっとだけ他人事のような感じでいたのだが,知り合いのサイト管理者からもスキャンなどがあったことを聞き,ちょっとだけ身震いした。やっぱり,自分もこの日本という国の中の平和ぼけしている一人なんだなと思い返す。この件についてのコメントは特にないけど,見上げる空に危機はなく,ぼうとそれを見上げながら,自分の気持ちと向き合ってみる。(対 日本サイトアタック情報掲示板




 
[2001.02.26]
  ナップスターという名の天使


 ▼音楽業界がナップスター類似サイトの閉鎖をISPに要求(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2001/Item/010224-3.html


 彼女は,自分のことを天使と云った。だが正体は,いやはやまったくとんだ堕天使だ。彼女は,自分のことを堕天使と云った。だが,彼女以上の天使に僕は会ったことがない。

 米国レコード協会は,インターネット・プロバイダーに対し,ナップスターに類似するシステム(オープンナップ)へのアクセスを遮断するよう求めた。オープンナップは,ナップスター社のサービスのオープンソースで,同様のサービスの小型版を設置できる。

 今月はじめにバージョン0.39がリリースされたオープンナップ・プロジェクト過去記事)。誰もが自分の手持ちのサーバーでナップスターと同様のサービスを提供でき,純正ナップスターはウインドウズ版とマック版しかないクライアントソフトも,オープンナップはアミーガOSから,ビーOS,IRCのプラグイン,JAVA版,perl,PHPとすべてオープンソースで開発されている。たかがひとつのサーバーが止まろうと,世界の果てで幾多のサーバーが立ち上がる。まさに,「The Net CANNOT be stopped. Electronic freedoms WILL survive, by hook or by crook.(ネットは誰も,絶対に止められない。電子の自由は,どんな手段の攻撃を受けても,生き残るんだ。)」。

 悪魔呼ばわりされて,断罪も近いナップスターだが,数年後,その時の世界を作ったのは,ナップスターと云う名の天使だったことに,みんなが気付く。天使だもの,死なないはずだ。そして,ホントの天使は,天使のような顔をしていないものだ。ほら,ナップスターのアイコンの顔,堕天使面をしているが,その顔は将来,大天使ミカエルの横顔となる,おぼえときな。




 
[2001.02.24]
  テンより高く


 ▼Macworld Conference & Expo/Tokyo 2001:基調講演レポート(Mac Fun net)
  http://macfannet.mycom.co.jp/special/MWCExpoTokyo2001/0222keynote_report.html


 別の意味でいろいろ話題を振りまいている(^_^;)お笑いiMacをちょっと置いておくと,今回のエキスポの注目点は,PCを出し抜いたゲフォース3,そして,完成間近のマックOS Xだ。

 マックワールドエキスポ東京のスティーブ・ジョブズの基調講演。まずマックOS Xの紹介から。ドックの説明からドック内で再生されるクイックタイムの実演,そして,フォントパネルの変更から日本語への強さもアピールされた。そして,パワーブックG4と新しいiMacの紹介が続いた。

 さっそくふらふらといろいろなブースをみてまわったが,各所で映し出されているゲフォース3の実力は目を見張る。あまり3Dゲームの映像をみる機会がないので比較できないが,スムーズさと反応の早さは心地よい。シネマディスプレイの大画面でもジャギーなどの乱れは徹底してない。そして,マックOS X。改良点はいくつもあるが,ほんと,明日からでも使いたいぐらいだ。まず体感できるくらい,細かい動作での速度が上がっている(と思う)。英語入力とことえり入力の切り替え時や,IEなどでメニューが消えるときのもたつきなど,改善されたようだ。最新G4ならいいかもしれないが,G3ではこういう一般的な速度の向上はウレシイ。各ウインドウに配置された,ツールバーを表すボタンは初心者にわかりやすい,そしてツールカスタマイズ機能は慣れたユーザーに効果的だろう。ドック内のフォルダからぴょんと伸びて,階層を辿っていけるポップアップは,いろいろと使い方を考えてしまった,うんうん,役立ちそう。アイコンは,どれもかなり華やかになって,うるさいぐらい(^_^;)。

 ヒューレッド・パッカード社がプリンタドライバのOS X版を参考出展。シマンテック社は,アンチビールスなどのOS X版を展示(触らせてくれなかったけど),ノートン・ユーティリティーも開発が進んでいると云う。その他,3D系のソフトはOS X上でのデモの展示が多かった。数少なくなってしまったアップグレードカードメーカーであるソネット・テクノロジーズ社も,発売しているカードをOS X対応にすると息巻いていた。パワーロジック社についてはMac Fan netの記事を。思っていたよりもOS Xアプリの開発・対応は進んでいるのだなと肌で実感できた感じがした。そう,もう,ちょうど,1カ月しかないんだからね。




 
[2001.02.23]
  世界で唯一「パソコン」であるiMacに


 ▼Macworld Expo Tokyo 2001: New iMacs(Go2Mac)【英語】
  http://www.go2mac.com/feedback.cfm?newsID=7805


 いやはやまったく妙味のない基調講演だったが,ワラタ(^_^;)。非難轟々の水玉&花柄iMac。ugly,ugly,ugly(醜い,醜い,醜い)の大合唱が起きているが,さてさて,このuglyMacの,意味とは?

 アップル社がアナウンスした花柄と水玉のiMac。読者からの反応。「新しいデザインは目にとても不快に映る」「これは私が想像していたよりも醜い。まるでイースターに配られる卵みたいだ。5月の発表の時に新しい色に置き換えられるのを望む」「知り合いの女性たちは新iMacを欲しがっている。人類の1/2以上を占める女性たちはこれを買いそうだ。男性たちは嫌っているが」。

 と,おおむねさんざんに云われている新iMac(^_^;)。私もみて腰を抜かした。もちろん評価するための言葉はいくらでもあるのだが(↓次の段落),みるたびに笑ってしまう。どぉよ,これは。フルーツカラーからセージ,ルビー,インディゴへと落ち着きを持たせたように思わせて(過去記事),一転,アーティスティックと云えばそうだし,ファンシーと云えばそうなのだが,いやはやいやはや…。

 だが,これはパーソナルコンピューターを売り続けるアップルの当然の所作とも云える。花柄も水玉も,どう間違ったってオフィスには置けない。派手さと,洒落っ気と,アート志向と,ファンシーさと,それらを持つ,あなたの部屋へいざなわれるもの。iMacで仕事なんてしちゃいけない。そも,パーソナルコンピューターというのは「自分のもの」であって,「あたしだけのもの」である。自分のためぢゃない仕事のために使うものを,パソコンとは云わない。iMacが「新しい」顧客のためのものであるとしたならば,このデザインは本当の「パソコン」を使ってくれる人たちのもの,あなたのためのものだ。今までコンピューターを使ってきた人たちなんかどうでもいい。明日から,自分の嗜好を満たしてくれる,私のプライベートの中心となってくれるコンピューターを考えはじめた人に,iMacはある。だから,このデザインはとても正しい。ただ,正しすぎて,どぉよ,となるのだが(^_^;)。




 
[2001.02.22]
  充ち満ちた火薬庫


 ▼Macworld Tokyo could be a big one (Moc OS Rumors)【英語】
  http://www.macosrumors.com/


 充ち満ちた火薬庫は,たった一本のマッチの灯火を待っている。薬莢の匂いを漂わせることを,待ち焦がれている。爆風の荒びを,待ち焦がれている。東の果ての舞台は,瞬きを沈めて,静かにその時を待つ。

 情報筋から証言は得られていないが,木曜日のマックワールドエキスポ/東京での発表について,推測が満ちている。新型iMacが期待されるが,iBookのアップデートについては予想されている,より大きい13.3インチ液晶の搭載は,価格的な面から難しそうだ。だが,アップル・ヨーロッパの幹部の話では,両方の紹介があるとしている。

 前にも云ったことだが(過去記事),プロユースはアップルにとって現状維持にしかならない。つまり,コンシューマー部門の刷新こそ,明日の糧となる。その舞台として今回のエキスポ東京はあり,すべてのセッティングが終わっている。

 AppleInsiderは,新しいiMacへのDVD/CD-RWコンボドライブの搭載をとりあげている(AppleInsiderの記事)。だが,「新しいiMac」ではダメなのだ。まったく新しい,なにか,が必要だ。そのなにかを,東の果ての国で発表するのはあまりにも忍びないのだが,アップルには先延ばししているほどの時間はない。火薬庫は,充ち満ちている。あとは,火をつけるだけ。スティーブは,22日の午前9時半。世界の耳目を集める東京の舞台に立つ。




 
[2001.02.21]
  冒険するということ


 ▼永野 護氏によるやり込みレビュー ファンタシースターオンライン(Impress GAME Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20010216/pso.htm


 「冒険にストーリーはない。冒険自体がストーリーになるのだ」。

 家庭用ゲーム機でのオンラインゲームは乗り越えなければいけない数多くのハードルがあり,ファンタシースターオンラインの開発は「暴挙」であったとも云える。だが,このゲームをやるためにDC本体ごと買い込んでもまったく後悔しない。RPGとしての内容も「ウィザードリィ」「ウルティマ」をついに越えてくれたと実感している。そして,日本でこのゲームを越えるオンラインRPGはできないだろう。

 私も,もう購入してから2カ月ほど経つが,相も変わらずやっているPSO。なかなか熱は冷めてくれない。そしてまた,冒険の扉を開く。これは,根本的なシステムが本当にきちんと作られている証なのだろう。ウィズやウルティマに言葉はいらないように,PSOにも言葉はいらない。RPGとはストーリーをたどる遊びなんかではなく,冒険に自らを埋めていく遊びだ。そしてPSOは,冒険の意味をよく知っている。

 「冒険とは,冒険を探すことである」。「24時間,365日走り続ける蒸気機関車には,冒険という名前がついている。乗り遅れるな,乗り遅れるな」。「冒険に必要なことは3つだけだ。孤独を愛せること,仲間を愛せること,そして,冒険を与えてくれる地上のすべてを愛せること,だ」。「道の先には,冒険しかない。ただひたすら歩み続けること。死してしかばねを埋める地まで」。「冒険する者の唯一の不幸は,休息がないことだ。だが,休息にまさるものがあることを,冒険する者は知っている」。「…魂という名の劇場の,最大のクライマックスは,冒険の幕の最後にある」。「冒険とは,お宝を探しに行くことではなく,お宝がある,と,信じ続けることである」。




 
[2001.02.20]
  推測という,確たる検索


 ▼ピアツーピア・ネットワークの難問は「検索」(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20010219302.html


 彼女が生きているかどうかを,僕は知らない。さっき駅前でわかれたばかりだと云っても,そのあとに事故にあっていないとは云いきれない。でも,僕にはわかるんだ。彼女が元気でいることが,喜んでいることが,悲しんでいることが。その気持ちが,時計の針を進めていく。それだけで,僕は生きていられる。

 オライリー・ピアトゥピア会議では,検索こそが分散型ネットワークの大問題という話になっていた。ウェブのコンテンツを収集するスパイダーの後の世界に,決定的なかい解決策はまだない。

 期待を集めたグヌーテラがひと頓挫しているのは,サーバーの数が増えすぎると,検索に途方もない時間を必要としてしまうことが原因だった。ピアトゥピアにとって検索は,やはり大きな問題だ。Hotlineのファイル検索はなかなかの精度があるが(私はTracker-Trackerを愛用),やはり接続できないサーバーがあったり,ファイル自体の確実性がちょっとなかったりする。でもそれはヤフーやグーグルも同じであって,実はそんな不確かな検索結果の中で,私たちは我慢している。そして,満足している。

 ピアトゥピアとは,個人と個人の繋がり。まったくの他人同士が相手の気持ちを推し量ることはできないが,繋がりがあれば,なんとなく,わかることがあったりする。それは「推測」の域をでないが,逆に考えれば確かなことなどこの世界にはなにもなく,私たちは推測の中で信じあい,愛し合い,憎しみ合う。記事を読むと,絶対にFile Not Foundのない検索,OffLineサーバーがない検索ばかりを模索しているような感じだが,たぶん多少のいい加減さがあっても人々は困らないだろう。彼女が,今度会うときまで生きているって云う確証はない。でも,私たちは今日のデートで,確証のない約束だけで離れることができる。つまり,推測だけで世界は進んでいる。ピアトゥピアがそれを確信して歩みはじめたとき,時計の針は進む。




 
[2001.02.19]
  チタニアムソフトウェア


 ▼“Toast”Roxioの支援を受け,外付けCD-R/CD-RWサポートをすすめるiTunes(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0102/17/n_itunes.html


 パワーブック・チタニアムは出荷が間に合ってないようだが,チタニアムソフトウェアは徐々に頭をもたげている。そのインターフェイスとその操作性,そして機能の奥深さ。チタニアムソフトウェアというジャンルが生まれつつある。OS Xの,キラーと呼ぶには弱いが,だがなくてはならないソフトたちだ。

 アップル社は,トーストの開発会社ロクシオ社と協力し,サードパーティーの外付けCD-Rドライブをサポートできるよう,iTunesを改訂しているという。だがそのiTunesアップデートにより,トーストがコンフリクトを起こしてしまうので,トーストもアップデートのパッチをリリースする。

 アダプテック社のソフトウェア部門がわかれたロクシオはまもなくCD焼きソフトの「トースト5 チタニアム」をリリースする。あちらこちらでベータ版が流れているが,使ってみると大幅なアップデートがある(pic)。パワーブックG4チタニアムと今までのフルーツカラーを取り入れているインターフェイス(pic),DVDディスクの作成とMPEG1エンコードによるビデオCD作成をサポート(pic),OS X用にカーボン化もされている(あとはドライブ側のドライバ次第)。なによりバックグラウンドで焼けるのがうれしいかぎり(pic)。だが,ひとつのマシンに2つの焼きソフトを入れると不具合が起きやすいように,アップルのディスク・バーナーは,もともとラディオロジック社のCDメイカーというソフトなので,コンフリクトは想像がつく。トーストに助けを求めるのは以前のアップルなら絶対しないことだったろうが,iTunesを広めるためなら頭を下げてもするべきだ。

 に,してもiTunesはやっぱりいい。余計なものはついていないし,必要なものはすべてある。で,使えば使うほどこなれてなじんでくる。私はiTunesのおかげで,ネットにつないでられるときはMP3ストリーミングを流しているのが普通になった。まぁここいらだが(^_^;)(先日まで坂本真綾さんの曲を流し続けているチャンネルがありましたが,今は菅野よう子さん絡みの曲を流し続けるチャンネルが…)。サウンドジャムMPでもできたことだが,iTunesには手軽さがある。なんでもOS Xには,カーボン版iTunesが搭載されるという。OS Xでキラーとなるソフトは,まずiTunesだ。iTunesの使えないパソコンなど,魅力が半分になってしまう。と,まぁトースト5やiTunesのようなチタニウムソフトウェアが路を切り開いていく,ということ。




 
[2001.02.18]
  パックの十字架


 ▼『アンナ・クルニコワ』作者の独占インタビュー(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20010215302.html


 いたずら好きの妖精は,いつも持っている十字架に,大好きな女の子の名前を刻んでいた。そんなに先のことではないある日,その十字架は青空を焦がすほどの炎を,世界に吹きつける。今はまだ,妖精の手のひらの中で,静かに鉛の鈍い光を照らすだけだが。

 ワーム型ウイルス「アンナ・クルニコワ」の作者でオンザフライと名乗る男性は「ウイルスを作成したことを後悔している」と述べた。だが,「感染したのは結局,感染者側の過失ということだ」とも。あるシステム管理者は,「愛,セックス,財産,セクシーなテニスプレーヤーののぞき見など,電子メールがどんな期待を持たせようが,添付ファイルにはすべて邪悪なものが潜んでいるものと考え,絶対に開けてはならない」と云う。

 報われないのはメリッサ(過去記事)やラブ・バグ(過去記事)を作った作者たちか。同じ人がまた感染したとは限らないが,あれだけの騒ぎになっていながらまた同じ過ちが繰り返される。今回は作者直々の登場もあって一気に収束したが,ある意味では作者の言い分は正しくて,おんなじいたずらに引っ掛かるのもどうかということ。大本にあるMSのソフト自体の罪科を問わなければ,間違いを繰り返す人間を責めてもなんにもならない。

 コードも書けないウイルス作者が世界のコンピューターを狂わせる構図は,なにかを予感させているようだ。世界を破壊するのは,決して最高に頭がいい人でも,最高に権力を持ち余している人でもない。ただのいたずらものが,その引き金を引く。大好きな女の子の名前が刻まれている十字架だけが,そのあとの世界の地面に転がっている。




 
[2001.02.16]
  バカにつける薬はとことんなし


 ▼gooを巡るドメイン紛争が裁判突入(NikkeiBP IT Pro)
  http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NC/NEWS/20010214/6/


 バカを相手にしているとバカになるが,あまりにも笑えるバカはネタに最適。つーことで再度。

 NTTエックス社から起こされたgoo.co.jpドメインの移転処置に対し,ドメインを所有するポップコーン社は,裁定を不服として東京地裁に提訴する。ポップコーン社側は,「今回の裁定では,大企業が他人のドメインを奪い取れる。先願による自由取得ルールに反する」としている。

 前回はgoo.co.jp側のコメントがなかったので,控えめ(過去記事)だったが(なのか?)きちんとした立場を表してくれたので,ちゃんと支持したい。記事中の「今回の裁定が認められれば…」以下のコメントは普通に読んで正論だし,常識だと思うが,どうだろう。アダルトだからダメだとか,goo.co.jpは入り口にしか使ってないからダメとかいう理由はくだらない。サーバー移転に対してゲートウェイドメインを使っている企業はたくさんあるし,アダルトサイトはグーなどよりよっぽどアクセスがある優秀なコンテンツだ。そこになんらかの格差を持たそうとしている主張は,あいつは風俗で働いているからバカだとか,アダルト関係の仕事は卑しいものだというはっきりとした差別思考から発せられている。とても,まともな大人が云うような主張ではない。

 この件について紛争処理機関が裁定理由を掲載している。機種依存文字を使いまくりでさっぱりと読むことができないが,そういう頭の持ち主たちなのだろう。結局のところ,規模が大きくて,アクセスが多くて,収入が多いほうがえらいんぢゃと云いきり,裁定書の終わりにある両社の,どこを見たら似ているのかわからない商標が似ているという頭も目もおかしいですかという次元。そんなとち狂った紛争処理機関など最初からいらないし,そんな主張を最初っからしている検索サイトも,いらない。そんなにco.jpドメインが欲しいのならkichigai.co.jpでも使ってください,ぴったりですからヽ(´ー`)ノ。




 
[2001.02.14]
  いかずちを振り下ろせ


 ▼著作権か『コピーレフト』か(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20010209203.html


 MSのサーバーに侵入者が確認され,開発中のソフトが盗まれたかもしれないとMSの幹部があたふたしたという(ZDNet Newsの記事)。おかしなことだ,コピーレフトソフトウェアなら,誰でもアクセスできるサーバーにソフトが置いてあるというのに。

 フリーソフトウェア財団の創立者で「GNU」の父であるリチャード・ストールマンは,著作権の概念は現在に相応しくないと主張した。ソフトウェアに変更と再配布を認めるコピーレフトによって,開発者とユーザーは「自由,正義および倫理」を得られる。コンピューターを持つ人すべてに著作権を適用させようとするのは難しく,なんらかの変化が必要だ。

 あまりにも海賊版が多いのでソフトの価格を倍にして売っている会社があるという。おかしなことだ,コピーレフトソフトウェアなら,誰もが勝手に使っているのに,いつまでも無料だ。勝手にソフトウェアの内容が書き換えられて,ユーザーを思い通りにできないと目くじら立てている会社があるという(ZDNet Newsの記事)。おかしなことだ,コピーレフトソフトウェアなら誰もが自分の望むように改良できるのに,おおむねすべての人が喜ぶソフトウェアに育っているというのに。

 折しも,ナップスターにちょっとだけ厳しい控訴裁判定が出た(ZDNet Newsの記事)。だが,その裁定が,大した意味を持たないんぢゃないかということに,みんな薄々気付いている。現在の著作権を維持しようとしたら,コンピューターを持っている人全員を最終的には牢屋に入れなきゃ解決しないよなとわかっているし,そんなことになる著作権とはなんなんだ? と翻るのは,世間的にはいけないこととされている。手の打ちようのない閉塞感だけが支配している。そう,過ちとして正されるべきは,その根本にあるものである。だが,誰もそれに手を付けられない。どうせ手を付けられないなら,一度壊してしまっていい。コピーレフトという「自由,正義および倫理」は,そのいかずちだ。




 
[2001.02.13]
  吹雪と爆薬


 ▼アップルが新型『iMac』を準備?(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2001/Item/010209-3.html


 3年経って,それでも他メーカーのハードよりもアドバンテージがあるiMacは,アップルにとっては手放しがたい機種だ。でも,その発火力は,ちょっとくすぶっている。吹雪の景色に,手元で火を待つ真新しい爆薬はよく似合う。アップルを包む猛吹雪を晴らす爆薬は?

 アップル社のiMacのハイエンドモデル2機種の供給量が減少している。アップルストアでは品切れとなっている。2月22日からのマックワールドエキスポ東京で,新機種の発表が推測されている。その機種には,CD-RWドライブの搭載が見込まれるが,iMacは発表から3年が過ぎ,古くさくなりはじめているという指摘もある。

 10日後,マックワールドエキスポの基調講演は,スティーブ・ジョブズが行う。昨年はハマグリiMacの発表やOS X日本語版でメインとなったが,今年は…,さて。どうも今年のタイムスケジュールをみると,基調講演が10時から。で,展示会場への入場は11時半から,となっていて,すなわち基調講演が終わるまでは展示会場には入れない。当然なにかしらの準備が行われているとみていい,かな?

 はっきりと云ってしまえばアップルの生命線は,コンシューマーハードだ。パワーマックG4がいかに高速化しようが,パワーブックがどんなに格好良くなろうとも,起爆剤とはならない。問題は,iMacが順調に新規ユーザーを獲得し続けることであり,それを考えると現在のiMacはちょっとだけ古くなり過ぎた。そこに,CD-RWドライブが付こうと,新しいカラーが登場しても,あまり代わり映えしない。今,アップルを巻き込んでいる吹雪の中では,再び新しい爆薬が必要なのだ。その微妙な位置に,iCubeという製品がある。廉価版キューブという位置づけは,iMac改定として相応しいが。さて,その発火力は,いかがなものだろう(雪崩を起こしそうという話もあるが(^_^;)。




 
[2001.02.11]
  月と,チタンと,


 ▼早くも人垣を作り出す魅惑のPowerBook G4(ZDNet ショッピング)
  http://www.zdnet.co.jp/shopping/0102/08/m_thayamimi1.html


 凍てつく寒さに月光遥か(過去記事)。もし,アポロ計画以来遠ざかっている月に,再び人が行くことがあるとしたら,それは宇宙船などの製造に使う,チタンを求めてとなるだろうと云われている。月の主要鉱物であるイルメナイトには,チタンが豊富に含まれている。

 8日,パワーブックG4 チタニウムの店頭展示が始まり,3店舗で確認された。熱い視線を浴びている。だが安定供給はまだ望めず,初回出荷分は少ない。

 10日,秋葉原のT-ZONEに寄り道してみると,デモ展示が2台あった。まだお昼時だったのだが,数人の人が集まっている。日本国内の店頭出荷は100台しかないとも伝えられ(アップルルームの記事),米国ではDVDプレイヤー部分の検査でアラスカ税関で足止めを食っているとのこと(MacWIRE ONLINEの記事)。予約して待っている人は気のやむところだろうが,実際に見てみると,やっぱり存在感がある。周りのiMacやiBookと比べると飾りのない,けれん味のない感じだが,(かえってその差異のせいかもしれないが)存在感は特筆に値する。

 アップルは今,ノートブックのコードネームに,NASAの宇宙開発プロジェクトの名前を使っている。今回のパワーブックG4は,1950年代のプロジェクト「マーキュリー」だ。そして次に控えるのがG4プロセッサーを2つ積んだ「ジェミニ」。そこまではアップルのロードマップにあるが,その先は明確ではない。だが,NASAの宇宙開発で,ジェミニの次にやって来たのが,あの,アポロだ。月の上に人間を送る,今考えても,途方もない施策だが,それは多くの困難とともに実を結んだ。マーキュリーたるパワーブック チタンには,月の香りがする。人は将来,チタンを求めて,月へと立ち戻る。そんな,月への思索が,このチタンから始まる。




 
[2001.02.10]
  7日目の麻薬の味,絶頂の味


 ▼「オルガスムを誘発する」新デバイス(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20010209305.html


 彼女は,あるときを境に,まったく笑わなくなった。どんな出来事も,彼女に笑いの表情を与えることはできなかった。だが,脳のある部位に電流を流すことで,彼女は医者の顔を見て,微笑んだ。人は,笑いの刺激,泣きの刺激,快楽の刺激,不快の刺激を持ち,その通りに反応する。つまりは,そういうことだ。

 ノースカロライナの麻酔医が,偶然に女性のオルガスムを誘発する脊椎の刺激箇所を発見した。体内に埋め込んだ信号発生器に電極を流すことで,腰痛が緩和されるだけでなく,そのような副作用が発生した。彼は,リモコン操作で動くオルガスムマシンを市場に売り出そうとしている。

 人間は,人という生き物を奥深いものと思っている。0と1では割り切れない,プログラムされたことにしか反応しない機械よりも,尊いものであると信じている。だが,その化けの皮がはがれるのは,それほど未来のことではない。人のいかなる表情も,作為的に作り出すことができる。人のいかなる感情も,作為的に作り出すことができる。人は,機械でしかない。命令にそって動く,1個のハードウェアだ。

 オルガスムは,言葉にできない感覚。そこに人の身体の奥深さを感じているのは,生物学者や精神科医だけぢゃなく,文学者などの芸術家もそうだ。だが,それとて,「ファイル」メニューから新規ウインドウを作成するような命令系統の結果でしかない。命令を与えれば,その結果は得られる。…ネットワークとシームレスにコネクトしたとき,人が,そこに性欲を求めるのは,現在のアダルトサイトの数から云っても当然のことだ。ウェアラブルデバイスに身を固め,人はネットワークからすべての刺激を受け,絶頂と心底を彷徨う。そして溺れ,ネットワークにたゆたう。神が作りし人が,7日目に麻薬の味をおぼえしように,ネットワーク上で,人は機械として,全能の味にたゆたう。




 
[2001.02.09]
  バカにつける薬なし


 ▼“goo.co.jp”ドメイン訴訟裁定下る(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0102/07/goo.html


 ブランドに躍らされる管理団体,ブランドを勘違いしているバカ。そんなサイトに,足を運ぶ必要など金輪際,ない(という前に検索エンジンとしてレベルが低いので,はなから使ってないけど。

 JPドメインの紛争処理機関,工業所有権仲裁センターは,検索エンジン「グー」を運営するNTTエックスから起こされていたgoo.co.jpドメインの移転申し立てを認めた。

 一言で終わらせるならNTTエックスの行動は勘違いも甚だしいし,移転申し立てを認めた弁護士たちが運営する工業所有権仲裁センターなるところにも,明確な哲学はないんだろう。愚かなことだ。もともとの登録日時をみると,goo.co.jpは,goo.ne.jpの半年も前に登録されている。goo.ne.jpの行動を非難するのにそれ以上の理由など必要ではない。「ポルノサイトの入り口としての使用には正当な権利がない」という記述が裁定書にあるようだが,goo.comもgoo.netも持っていないNTTエックスにgooという名称を振りかざす権利はない。逆に云えば,NTTエックスはgoo.ne.jpに権利はあっても,goo.co.jpに口を挟む権利などこれっぽっちもない。裁定自体も,あまりにもお粗末であり,お金をくれそうな大きいものにはまかれてしまう能のない弁護士たちが下しそうな裁定だ。

 goo.ne.jpと間違って goo.co.jpとユーザーが打ち間違うとしたら,それはgoo.ne.jpというブランドをきちんと確立できないNTTエックスの努力不足であり,能力不足だ。すなわち,バカだということだ。もう一度云うが,勘違いも甚だしい。なぜ,WhiteHouse.comが,インターネットの興隆前から,そして興隆後もずっとポルノサイトのままなのか,考えてみたらいい。まぁ,バカにつける薬はないというが,認識力のないバカな検索エンジンは使うに値しないと認識できる出来事だ。(参考:LYCHEE SOUNDS -Auxtracker-さん)




 
[2001.02.08]
  わずかに感傷的な明日への事象_4


 ▼ハード・ソフトメーカー9社にインタビュー!(ファミ通.com)
  http://www.famitsu.com/game/news/2001/02/07/n06.html


 セガに,任天堂やSCEIと同じ匂いではなく,スクエアやコナミと同じ匂いを感じる日が,来るのだろう,か?

 セガ社のドリームキャスト製造中止と他ハード参入を受け,他メーカーのコメント。SCEI「プレイステーションにとって大きなプラス,参入を歓迎する」,ナムコ「今後も競い,協力しあい,業界の発展に貢献したい」,バンダイ「セガのタイトルでの活性化を期待する」。

 20年弱も,ひとつの拠り所としてきた,コンシューマーハードを捨てる気持ちとはどんなものだろうか。基本はアーケードだったとか,コンシューマーハードがすべてではなかったという意見もその通りだが,コンシューマーハードなしのセガは,ある意味では存在価値を揺るがす事態だ。ソフトウェアベンダーのMSが,ハードウェアに歩を進めるXボックスと対照的に,セガはハードを捨てる,もう二度と,手に取ることはない,と宣言して。

 任天堂のゲームに,独特の「匂い」があるように,SCEIのゲームに,独特の「匂い」があるように,セガにも,ナムコやコナミ,エニックスやスクエアにはない,独特の匂いがあった。それは,ハードメーカーが醸し出すことができる匂いなのかもしれない。生粋のソフトウェアベンダーにはそれとは違う匂いがある。その匂いに,セガは染まることができるのか,いつ,染まることができるのか,本当に,染まることができるのか。他社メーカーのコメントを読めば一目瞭然のように,現在のゲーム業界は,誰が笛を吹こうと,誰が踊ろうと,一向に盛り上げらぬまま,深い闇へと転げ落ちている。そこで,ハードなきセガは,どのような香りを立ち昇らせるのか。振り返ってはいけない,もうハードはないんだ。過去の匂いは,すべて捨てて,清新な芳香を発するまで,すべてを,捨てて,いざ,いざ。もう,歩み続けるしか,ないんだ。




 
[2001.02.06]
  分散コンピューティングが変える,世界を


 ▼SETI が電力不足を引き起こす(TidBITS)
  http://tidbits.hotsync.co.jp/issues-j/TidBITS-jp-564.html#lnk2


 SETIもおちおちできない,せち辛い世の中ですなぁ,いやはや(さぶっ。でも,ひとりひとりが差し出す電力が,変革を,呼ぶ。

 計画停電が行われているカルフォルニアのユーザーに対して,SETI@homeプロジェクトは節電を提言している。SETIは,世界の人々から電気料金という寄付を受けているが,電力消費抑制が声高に叫ばれている状況では,それに参加することは社会的に責任ある行為とは云えない。

 なるほど,云われてみれば,SETIやってると夜も昼もパソコンつけっぱなし,宇宙人探しには役立っているけど,でんこちゃんやえここには怒られるという訳ですか(なぜにえここ?)。ある意味ではSETIとは,20世紀最大の発明とも云える。個々の小さな小さな力をまとめ,世界がひとつの力となる。もしかしたら地球を生かすも殺すも,その力次第という時が来そうな気もする。それは人間の存在も存在価値も変える。繋がる力が,すべてを変える(過去記事)。

 折しも米国のプロバイダーでは,接続料を無料にする代わりに接続するパソコンを分散コンピューティングに利用して,その力を企業に売るという商売が出て来た(Impress INTERNET Watchの記事)。ちょっと胡散臭さも感じさせるのだが(ZDNet Newsの記事),SETIの繁栄と,分散コンピューティングの力を考えると,非常にうまい商売だ。これは賢い。この力は,すべてを変えるのだから,ね。




 
[2001.02.05]
  コンプ・コーチと人間と


 ▼Blitzes, byte by byte(SunSpot.net)【英語】
  http://www.sunspot.net/content/sports/story?section=sports-football&pagename=story&storyid=1150540211715


 勝ち負けの予想などできない。人間の予想も外れるのに,コンピューターの予想が当たるわけがない。でも,勝利への過程のひとつひとつを分析するのに,私たちはその,もうひとつの頭脳を必要とする。この頭脳が,肉体に,直結する。

 スーパーボールに出場したボルチモア・レイブンスのQB,トレント・ディルファーは,90時間以上のデジタルビデオが保管できる,チームのデジタルデータベースからムービークリップを自分のマックにコピーし,相手ディフェンスについて検討していた。レイブンスのヘッドコーチ,ブライアン・ビリックは,コーチングにパソコンを使う先駆者の1人だ。彼の「コンプ・コーチ」と呼ばれる練習では,パワーポイントとエクセルが使われている。

 数あるスポーツの中で,アメフトは積極的にコンピューターを使うもののひとつだ。その最高峰のNFLで,特に積極的にパソコンを使うコーチが,スーパーを勝ったレイブンスのビリック。彼の机の上は,パソコンを中心に配置されている。チームが持っているすべての攻撃パターンが入力され,相手チームのプレーコールもすべて入力されている,ディフェンス陣の能力もすべて,という状況はもうどのチームでもやっていることだが,ビリックのパソコンの中のデータ量と分析量は,他のコーチの比ではないという。そんなチームが,圧倒的な強さでスーパーボール(過去記事)を勝ったことは,意味深い。

 ディルファーが,マックを使ってシミュレーションをしているというのもなかなか興味深いが(^-^),最終的に格闘技である,とことん肉体的なスポーツのシミュレーションが,ビットによって行われる。そこから生まれてくるヒントが,ゲームを作っていく。まぁ,そうは云っても,記事にある通り,コンピューターはなにかを予言できることはない。どんなデータを入れても,今年ボルチモアがスーパータウンになるなんて結果は出てこなかったろう(そんな予想が出たらそのパソコンは壊れていると云われる(^_^;)。その狭間に介在する人間は,なんとも掴めないものだ。




 
[2001.02.03]
  わずかに感傷的な明日への事象_3


 ▼セガ、ドリームキャスト本体を半額の9,900円に値下げ(MYCOM PC WEB)
  http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/02/02/06.html


 セガは,核なきフレアと称されていた。核たる星を持たぬまま,ただ周辺にフレアだけが舞い上がる。そんな,企業形態だった。ソフトウェアという,大量の高エネルギー粒子のプロミネンスが日々,巻き上がり続け,中心にエネルギーがない,そんな恒星に,明日がないのは,同然のこと,だったのだが。

 ドリームキャストの製造中止を発表したセガ社は,ドリームキャストを3月1日から1万円値引き,9,900円にすることを明らかにした。今まで,プレイしたいソフトがあったがためらっていた,という人には,買いどきなのかもしれない。

 実は,1万円の値引きというのは,絶対的な底値だった2万円の半額となり,小売店としては,仕入れ値さえもとれない金額だ。これはすでに投げ売り的な,あまりにも寂しい状況。ハード事業との断絶を思い知る慟哭に満ちている。セガが定めた道は,こんな大きな自己否定から始まる。実際にプレイしている人なら知っていることだが,今,世界において最高の水準を誇るドリームキャストのソフトウェアを知らしめる最終処分となる。が,国内のドリキャスの在庫は21万台しかなく(Mainichi INTERACTIVEの記事),さばけるのは時間の問題だ。あとには,期待をはぐらかされた発売予定ソフトが残ることになる。まったく,もったいないことだ。ソフトウェア開発者のやり切れない想いが,胸に痛い。

 それはまるで,皆既日食で,太陽はすっぽり影に隠れて,その周りにひらめくフレアのようだった。ハードの不況の周囲で,あまりにも優秀なソフトウェアたちのプロミネンスが踊る。太陽はそして,20年の月日の果てに核を捨てて,フレアの輝きだけを残す。すでにそこには,太陽の神々しさはない。つまりは,そういうことなのだ。感傷は晴れる日が来るが,輝きを失った太陽は,もう太陽系の中心とはなりえない。たとえ,その選択が正しくとも(否,たぶん正しいのだろうが),それは20年かけたあとの明日ではなく,太陽系の中心から逃げ出した,なんの恩恵をも周囲にもたらさない,明日,なのだ。残念な,ことだが。




 
[2001.02.02]
  わずかに感傷的な明日への事象_2


 ▼ムーディーズがセガの長期債格付けをB2からB3に(GAME SPOT JAPAN)
  http://www.zdnet.co.jp/gamespot/gsnews/0102/01/news02.html


 月はいつも地球に同じ面を見せている。すなわち,月の裏側を,私たちは見ずに死んでいく。つまり,物事にはそういう側面もある,ということだ。

 債券格付け調査を行うムーディーズ社は,セガ社の無担保長期債務格付けの引き下げを行った。これは,業績の予想以上の悪化,財務の柔軟性に疑問が残るため。短・中期的には,新戦略への流動性管理に注目する。

 実はもう,ゲームハードを作り,販売することで,まともな利益が出る構図というのは消滅してしまった,という意見もある。ソニーはプレステで成功したSCEIを強引に吸収したが,今は逆にSCEIの失墜分で営業減益をかぶっているし,任天堂はゲームボーイとポケモンに救われているが,64の失態は隠しようがない。ドリキャスの辿った道は,プレステ2も,今後出るゲームキューブもXボックスも変わらない。まともな収益を持つゲームハードのビジネス・モデルを,今はどこも持っていない。勝者なき,過酷なレース。または,どうあがいても無駄なレースに各自が身を投じているに過ぎない。そこからドロップアウトしたセガが,最終的に「勝つ」と云われている最大の要因はそこだ。ゲーム業界で生き残れるのは強靱な開発力を持ち,ソフトウェアを繰り広げられるわずかなメーカーだけだ。

 だが。窓の外に半月がある。半月は決して半円の形をしているのではなく,正なる円形をしている。半円は影に隠れているだけで,ホントに半円の形をしていたら,宙にとどまっていることはできない。陽の当たらぬ場所を嘆き,その部分を削り取ることは安直な考えだ,とも云える。時に新月になれど,時に満月は照り輝く。実直なる者に,月齢の時は進む。そして月は円ではなく,球であり,人間は一生かかっても月の裏側を見ることはできない。だが,月の裏側には,東の海があり,南の海があり,天才の海がある。見えない場所にある事象は,重要に思えないが,それでも月は球体として地球を回る。…ビジネスはそんなに甘くないって? そう,ちょっとだけ,私は感傷に浸っていたいだけなんだ。




 
[2001.02.01]
  わずかに感傷的な明日への事象_1


 ▼SEGAを応援してくださるみなさんへ(株式会社セガ)
  http://www.sega.co.jp/sega010131.html


 正式な発表があったので,正式にへこんでみようと思ったが…,セガから発表された6ページにわたる説明書きは,なんとも,感傷的にさせるものだった。ビジネスと感傷の間で,ユーザーと,開発者たちの想いは,どんなだったろう。

 「本日,セガは大きな決断をしました。…セガは,ドリームキャストの製造を中止し,さらに,ドリームキャストを最後に新規ハードの研究開発をやめることを決断しました。…今回の決断は悲しい出来事として映ると思いますが,この決断によってセガの精神は生き続けることができ,セガという"DNA"は,今まで以上に広く大きく世界中に拡がっていくことになるのです。…セガが「世界一のコンテンツプロバイダー」としてコンテンツ事業に特化していく以上,"本気"でそのすべてに取り組んでいきます。そして,世界中の"ゲームを愛する人"にセガの素晴らしいゲームをとどけ,セガの魅力を知っていただけるよう全力を尽くしてまいります。 」

 セガ社が19年に渡ったコンシューマーゲームハードを手放す決断は,やっぱり長嘆の想いを残すものだった。ドリキャスに限らず,なんらかのセガハードを手にした人たちにとって,プレステ2で動くセガのゲームは,壁,を感じるものだ。違う,その決断は,大切ななにかを忘れている,なにか間違っている。だが,それしか生き残る術はなかった。800億円をかけても(ZDIIの記事),その歴史に幕をおろすほうを選択した。…それは,間違ってはいないことなのだが。

 悲しむべきは,あまりにもタイミングが悪すぎたことだ。今,ドリキャスのソフトはいちばん豊かな実りの時にある。この発表によって,ファンタシースターオンライン(PSO)に来たはずであった人たちが,来ずに終わってしまうだろう。2月から米国とヨーロッパでもPSOが発売される。私は,もっと欧米のユーザーと冒険に出たいと思っている。だが,この発表はその数を大きく減らしてしまうだろう。そして他のこれから発売されるドリキャスに最適化されたゲームについても,同様のことが起きてしまう…。…それは,辛く,哀し過ぎる。2年間も,ドリキャスを愛して,ドリキャスを最高のハードとして開発にいそしんでいる開発者たちの無念はあまりにも痛く感じる。他のプラットフォームで作ればいいだろうとドリキャスを捨てた人たちは云う。でも,違うんだ。セガはこの決断によって,最終的に勝つだろう(断言)。だが,それでも…。つづく。




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